2018.7.12|アシスタント日記(狩野)
「まるで軍隊みたいだな」
そうはっきりと自覚したのは、中学生の時だった。ちょうど、体育祭の練習で行進をしていた。両隣の人と足並み、手並みを合わせ、一糸乱れず歩くように支持される。他人と同じ行動を取ることが苦手な私は、それが苦痛だった。はたから見れば、もちろん、皆の動きがそろっていたほうがきれいに見えるだろう。しかし、私はその集団の中に自分が溶け込む姿をイメージすることができなかった。
「心を合わせて」「一致団結して」「一つの目標にみんなで向かって」
苦手なスローガンたちだ。こう見えて、団体スポーツも苦手だ。中高と、ソフトボール部、サッカー部と、もろに団体スポーツだったが、私はよく一人で練習していた。超個人主義だ。
他人と心を通わせたり、力を合わせたり、集団として何かを成し遂げたりすることは、自分にはできない。だからこそ、それらをやってのける彼らの姿を見て、感動し、尊敬する。今までのお祭りの撮影同行では、いくどとなく私は感動してきた。お祭りそのものに魂を込める人々の姿に心を動かされてきたのだ。今回もそうだった。
12日に「博多祇園山笠」の行事として開催された「追山ならし」。事前にウェブサイトや画像などでそのすごさは感じていたものの、実際に現地で山笠を舁く人たちの姿を見た時、あまりの迫力にただただ圧倒された。何十人もの人たちが自分の体重よりはるかに重い山笠を舁きながら、博多の街を全力で駆け抜ける。本当にすごいものを見てしまった。
当初は「福岡行くのに朝は早いし、帰りは遅いし、機材は重いし……」というイヤだなぁ〜感と、「初めての福岡で楽しみだな」というワクワク感が入り混じった気持ちだった。しかし、私は「すごいもの」を見てしまったのである。イヤだなぁ〜感もワクワク感も吹き飛ばすレベルの「すごいもの」だ。
まあ、レンズ交換する際にスマホを落として画面をバッキバキに割ってしまったショックは吹き飛ばしてくれませんでしたが……はぁ〜、つらい。
というわけで(話の展開が早い)、私と同じような超個人主義の人こそ特に見ていただきたいお祭りだと思う(多分)。特に何か己に変化が起きるわけではないが、このクソみたいな日常に疲れ切って、あぁそろそろ電車が自分のことを呼んでいる、などと思うようになった人にもまあ、オススメだ。生きたくもならないだろうが、死にたくもならないだろう。ただただ「すごい」という感情で心が支配されるはずだ。
ちなみに、私は帰り道、疲れ切って電車にダイブしようと思ったよ(ピース)